海道帯広市で、中学校のアイスホッケーの授業が2028年度までに廃止されることが分かりました。小学校で行われているスピードスケートの授業についても、廃止を含めて検討されているとのことです。

帯広市では冬になると、多くの中学校でアイスホッケー、すべての小学校でスピードスケートの授業が行われてきました。校庭にリンクをつくり、子どもたちが氷の上で学ぶ風景は、まさに「スケート王国」と呼ばれる地域ならではのものです。

しかし近年は、温暖化による雪不足などで校庭にリンクをつくることが難しくなっています。さらに、物価高騰によってスケート靴などをそろえる保護者の負担も増えており、長年続いてきた授業の見直しが進むことになりました。

80年近く続いた地域ならではの授業

帯広市のスケート授業は、戦後間もなくから80年近く続いているとみられています。

北海道の中でも帯広は、スピードスケートが盛んな地域として知られています。冬の校庭にリンクをつくり、体育の授業としてスケートに取り組むことは、地域の子どもたちにとって当たり前の冬の風景だったのではないでしょうか。

こうした授業は、単に運動能力を高めるためのものではありません。地域の気候や文化を体で知る機会でもあります。寒さの中で氷に立ち、滑る感覚を覚え、友達と一緒に練習する。その経験は、帯広で育った子どもたちにとって、地域の記憶の一部になってきたはずです。

だからこそ、廃止のニュースには寂しさもあります。長く続いてきたものが終わるというのは、制度の変更だけではなく、地域の風景が一つ変わるということでもあります。

温暖化で「当たり前」が続かなくなっている

今回の背景として大きいのが、温暖化による雪不足です。

以前は冬になれば自然にリンクをつくれた場所でも、気温や雪の状態が変われば、同じようには維持できません。氷を張るためには十分な寒さが必要ですし、安全に授業を行うためにはリンクの状態も安定していなければなりません。

つまり今回の話は、単に学校行事をやめるかどうかではなく、地域の気候そのものが変わってきていることを示しているようにも見えます。

「北海道だから冬はスケートができる」という感覚も、これからは簡単には言えなくなるのかもしれません。地域文化は自然環境と深く結びついています。その環境が変わると、文化の続け方も変えざるを得なくなります。

保護者の負担も見過ごせない問題

もう一つ見ておきたいのが、保護者の負担です。

スケート授業を行うには、スケート靴などの用具が必要になります。物価が上がる中で、家庭ごとに用具をそろえる負担は以前より大きくなっています。

地域の文化として大切だから続けたいという思いがあっても、家庭に過度な負担がかかるのであれば、簡単に維持することはできません。特に学校教育の中で行う以上、家庭の経済状況によって参加しやすさに差が出ることは避けたいところです。

伝統を守ることと、保護者の負担を減らすこと。この両方を考えなければ、長く続けることは難しくなります。

廃止だけで終わらせず、別の形で残せないか

中学校のアイスホッケー授業が廃止されることは、現実的な判断なのだと思います。リンクづくりが難しく、家庭の負担も増えているのであれば、学校として見直すのは自然な流れです。

ただ、そこで完全に切れてしまうのは少し惜しいとも感じます。

たとえば、希望者が参加できる体験教室や、屋内リンクを活用した地域イベント、地元選手やクラブと連携した授業など、学校の通常授業とは別の形でスケート文化に触れる機会を残す方法は考えられます。

すべての子どもが毎年授業で行う形は難しくなっても、帯広らしい文化として「一度は触れられる機会」を残せると良いのではないでしょうか。

「スケート王国」の看板をどう次世代につなぐか

帯広が「スケート王国」と呼ばれてきた背景には、学校での授業や地域の環境が大きく関わっていたはずです。子どもの頃から自然にスケートに触れられる環境があったからこそ、競技への関心も育ち、地域全体にスケート文化が根づいてきました。

その入口が変わることは、長い目で見ると地域スポーツのあり方にも影響します。

もちろん、時代に合わせて変えることは必要です。ただ、廃止するものと残すものを分けて考えることも大切です。学校の授業としては難しくなっても、地域としてスケートに触れる場をどう作るのか。ここが今後の課題になると思います。

地域文化は、続け方を変えながら守っていく時代へ

帯広市のスケート授業の見直しは、地域文化をどう守るかを考えさせるニュースです。

温暖化によって環境が変わり、物価高騰によって家庭の負担も変わりました。昔と同じ形で続けることが難しいなら、無理にそのまま残すのではなく、今の時代に合った形を探す必要があります。

長く続いた授業がなくなることには寂しさがあります。一方で、これをきっかけに、帯広らしいスケート文化を次の世代へどうつなぐのかを考える機会にもなります。

「スケート王国」としての誇りを残すためにも、学校、地域、競技団体が連携しながら、子どもたちが無理なくスケートに触れられる形をつくっていってほしいと思います。