子育て世帯を中心に人口が増え、街として成長を続けてきた流山市。
一方で、子どもの数が急激に増えたからこそ、教育現場には新たな課題も生まれています。
この課題について、千葉県市議会議長会会長/流山市議会議長の森りょうじさんにお話を伺いました。
森さんが目指しているのは、学校だけに子どもの教育を任せるのではなく、地域にいるさまざまな人が子どもたちの成長に関わる仕組みです。
人口が増えた流山で、教育に「ゆとり」を取り戻したい
――人口が増えている流山市だからこそ感じている教育の課題はありますか?
流山は全国的に見ても、非常に珍しい人口増加地域です。人口が増えている自治体は一部に限られています。その中でも流山は、人口増加率で全国トップクラスとなる状況が続き、6年連続で人口増加率が全国の市の中で1位になった時期もありました。
流山の場合、市外から移り住んでくださる方が多いという「社会増」だけでなく、出生による「自然増」もあります。都市部でありながら出生率が比較的高い街として評価していただいているのは、流山の大きな特徴だと思います。
ただ、子どもが増えれば、それを受け入れる教育現場にも当然影響が出ます。私が気になっているのは、子どもたちを限られた環境の中に詰め込むような教育になってしまっていることです。一人ひとりと向き合う時間をつくりたくても、先生が大勢の子どもを見なければならない。子どもたちにとっても、先生にとっても余裕がありません。
人口が増えていること自体は喜ばしいことです。ただ、その結果として教育にゆとりがなくなってしまうのであれば、次の手を考えなければいけないと思っています。
――具体的には、どのような教育環境をつくりたいと考えていますか?
まず実現したいのが、30人学級です。現在も現場では少しずつ改革が進んでいますが、基本的には1クラス35人程度の子どもに対して、先生が一人という環境です。
私は、クラスの人数は少ないほうがいいと思っています。30人になれば、単純に先生の負担が減るというだけではありません。子どもによって学習の習熟度は違いますし、普段の会話の中から気づける変化もあります。一人ひとりを見る時間が増えれば、その子に合わせて向き合える場面も増えていきます。
流山は人口増加という全国でも珍しい経験をしてきた街です。それなら教育についても、国の動きを待つだけではなく、国に先駆けて新しい形に挑戦してもいいのではないかと思っています。
ただ、30人学級を実現するために、単純に学校の先生を増やせばいいとは考えていません。そもそも今は先生のなり手が不足しています。さらに、学校に求められる役割が増え続けて、先生たちが担う仕事そのものが大きくなりすぎています。そこで考えているのが、学校だけで教育を完結させない仕組みです。
地域全体を学校にする「分散型30人学級構想」
――学校だけで教育を完結させないとは、どういうことでしょうか?
私が考えているのが、「分散型30人学級構想」です。30人学級というと、先生を増やしてクラスを小さくする話だと思われるかもしれません。ただ、それだけではありません。
今の学校には、勉強だけでなく、しつけやスポーツ、さまざまな体験まで、多くの役割が集まっています。それを限られた先生たちだけで担い続けるのは難しいと思うんです。
流山の地域を見渡してみれば、大学もあれば、特別養護老人ホームのような福祉施設もあります。さまざまな仕事をしている人がいて、自分の経験や知識を子どもたちに伝えたいと思っている方もいます。そうした人たちにも、子どもたちの「先生」になってもらう。
例えば学校の中だけではできない経験を大学や地域の施設でさせてもらったり、スポーツが得意な地域の方に教えてもらったりすることもできます。学校という建物の中に教育をすべて集めるのではなく、地域全体を一つの学校の校舎のように捉えていくイメージです。そうすれば、学校の先生たちは国語、算数、理科、社会、英語など、本来の専門である教科教育に、より力を注げるようになります。
子どもを育てる役割を学校だけに背負わせるのではなく、地域に開いていく。地域には子どもたちに伝えられる経験や知識を持った人がたくさんいます。人口が増え続けてきた流山だからこそ、学校を増やす、先生を増やすという発想だけではなく、地域にある力を教育に生かしていきたい。
子どもたちを限られた学校の中に詰め込むのではなく、街全体の中で学び、さまざまな大人と出会える環境をつくる。それが、私の考えている流山の新しい教育の形です。

森 りょうじ 千葉県市議会議長会会長/流山市議会議長 2003年 流山市議会議員当選(一期目) 議会のインターネット中継やグリーンバス、 「地域職業相談所」設立を実現 2007年 シンクタンク東京財団・政策研究部に在籍(2年間) 世界や日本の地方政治・地方自治を研究、講演活動も展開 2011年 流山市議会議員当選(二期目) 2015年 流山市議会議員当選(三期目) 議会運営委員会委員長(前期) 第28代市議会副議長就任(後期) 2019年 流山市議会議員当選(四期目) 監査委員(議会選出) 議会運営委員(前期) 都市建設委員(前期) 2021年 第30代市議会議長に就任(後期2年間) |
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